概要：この記事は Universe Today の記事「When Will Humanity Become a Type I Civilization?」を翻訳したもので、著者はBRIAN KOBERLEINです。2022 年 4 月 18 日に公開されました。記事の内容は翻訳者の意見を代表するものではありません。
人類の文明の進展を評価するために、私たちは人口の増加、帝国の興亡、宇宙航行の技術能力など、さまざまな指標を持っています。
その中でも、特定の時期の人類文明が利用できるエネルギーの総量を計算するという単純な指標があります。人類の領域の拡大と技術の発展に伴い、エネルギー収集技術は私たちにとって最も有用な技術の一つになっています。
もし他の惑星の文明も同様の技術を持っている可能性があると仮定すると、文明のエネルギー消費レベルは技術力の良い証拠となります。これがカルダシェフスケール（Kardashev scale）の背後にある考え方です。
この指標は、1964 年にソビエト連邦の天体物理学者ニコライ・カルダシェフ（Nikolai Kardashev）によって提案されました。この指数に基づいて、彼は文明を惑星文明、恒星文明、銀河系文明の 3 つのタイプに分類しました。
タイプ I 文明は、母星に到達する太陽エネルギーの総量を収集する能力を持っています。タイプ II 文明は、その太陽系の恒星が放射するエネルギーの規模を収集することができます。タイプ III 文明は、その銀河系のエネルギーを収集することができます。
この考え方はカール・セーガン（Carl Sagan）によって広く知られるようになり、彼は文明のエネルギー消費量を連続的に測定することを提案しました。
では、私たち人類の文明はどのような文明なのでしょうか？人類はすでに膨大なエネルギーを利用できるようになっていますが、実際にはまだタイプ I 文明にはなりきれていません。
太陽が地球に放射する平均パワーは約 10^16 ワットであり、人類の文明の現在の消費パワーは 10^13 ワットです。カール・セーガンのスムーズ指数では、私たちはおおよそ 0.73 型の文明と言えます。
私たち霊長類の進化した生命形態としては、この成果はなかなか優れていますが、興味深い問題が生じます。私たちはタイプ I 文明に発展することができるのでしょうか？なぜなら、もし私たちが地球に到達するすべての太陽エネルギーを収集したら、地球は生物の生存に適さなくなってしまうからです。
カルダシェフの 3 つの文明タイプのイメージ（ウィキペディア、cc-by-sa 3.0）
最近、arXiv に掲載された論文「Avoiding the Great Filter: Predicting the Timeline for Humanity to Reach Kardashev Type I Civilization」がこの問題を研究しました。この論文では、化石燃料、核エネルギー、再生可能エネルギーの 3 つの主要なエネルギー源を調査し、それらの潜在的な成長傾向を計算しました。
一方で、タイプ I 文明の段階に到達することは容易に思えるかもしれません。エネルギー生産を人類の最優先目標にすれば、最終的には達成できるでしょう。しかし、人類が使用しているこれらのエネルギー源にはそれぞれ制約があります。
極端な場合、すべての化石燃料を燃やし尽くすと、気候変動が生物圏に壊滅的な影響を与え、いわゆる「グレートフィルター（Great Filter）」イベントが発生します。人類が絶滅すれば、タイプ I 文明にはなりえません。
そのため、このチームはより洗練された方法を採用し、各エネルギー源の物理的な制約を分析し、これらのエネルギーの使用と気候変動、汚染レベルのバランスを考慮しました。参考基準は「国連気候変動枠組条約」と国際エネルギー機関から得られました。
彼らは、現実の制約を考慮しても、人類はタイプ I 文明に発展する可能性があることを発見しました。ただし、このレベルに到達するのは 2371 年以降になる可能性があります。
これは必ずしも悪いことではありません。なぜなら、カルダシェフスケールはただの冷たい指標に過ぎないからです。
先進的な技術を持つ文明は多くのエネルギーを必要としますが、省エネ計算やエネルギー効率の改善によって、エネルギー消費を増やすことなく技術の発展を続けることができることもわかっています。
この研究は、私たちがタイプ I 文明に発展する可能性があることを示していますが、私たちは十分に先進的に発展し、結局はタイプ I 文明になる必要がないこともあります。